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2013/07/05

朴訥な哀愁、が漂う様な風情を求めて。




"Peterson Pipe of the Year 2010" が4本揃った。
Limited Edition: No.208/1000とNo.700/1000。
こんな数字が微かに私を慰める


同じイヤーパイプも、それぞれ細部が異なっている。
まだ未使用のブライヤーは色が浅い。
ステムのさし込み口はそれぞれ太さが違う、
一本一本シャンクに合わせて調整しているからだ。
ハンドメードの暖かさが伝わって来る。

日本人には似合わない、と大嫌いだった
大きく重そうな曲がったパイプ。
今では私のお気に入りになっている。
自身の姿にパイプを合わせるのでは無く、
パイプに負けない威厳を身に付ければ良いのだ
と悟ったからだ。

多くの喫煙者が大きなパイプを使う理由が解った。
それは、ボール外径とチャンバー内径差が大きいほど
タバコが美味しく喫煙出来るってことだ。
完璧な機能と端正な造形美で私を虜にしてしまった
Peterson Pipe of the Year 2010。
決して高価では無いが、さすがイヤーパイプ。
火皿内径19ミリに対しボール外径は42ミリである。
約1センチの厚い火皿外壁が燃焼温度を一定に保ち、
タバコをとても美味しく感じさせる。
だから、同じイヤーパイプを私は4本も購入した。


さらにエボニー仕様を加えればシリーズ3種が揃う。
新品が残されているショップは解っているが、
今後予想される格差社会や恐慌に向う世情を考えると、
パイプばかりに、うつつを抜かしてもいられない。

しかし、これは贅沢でも、コレクションでも無い。
14本のクラブを使ってプレーするゴルフと同じ様に
ローテーションの為に必要だからだ。
間も無くロンドンから届くミルヴァートンを加えても、
まだフルセットには満た無い本数である。

自分に合ったパイプを探すのは楽しいが難しい。
あんなに欲しくて購入した
2本のダンヒル4110クロスビー・シェイプのパイプも
象牙の白点が私の見栄を少し満たしただけだった。
それは、
ロールス・ロイスやメルセデス・ベンツSクラスを、
運転手も付けずに、自ら運転している様な滑稽な姿。
私には似合わないと使わなくなった。

結局、私がパイプに求めているのは、
ロッキングチェアで、過ぎ去った冒険に満ちた日々を
回想する男が無雑作に扱う様なパイプ。
そんな、朴訥な哀愁に浸っていたいからだ。

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